TeX ユーザの集い 2009 の中心で「Vine 愛」を叫んできました!

昨日、TeXユーザの集い 2009 が盛大に開催されました。日本語 TeX 界を支えておられる重鎮の方々とお会いできて、一人ではしゃいでいました。

そんな中、私も「Vine Linux 5.0 における日本語 TeX 環境の特徴——利用者・現場・開発者の情報共有——」というタイトルとテーマで、ちょこっとだけ発表してきました*1

技術評論社さんから吉永徹美さんのレポートが上がっています!

「TeXユーザの集い2009」参加レポート:レポート|gihyo.jp … 技術評論社

KeTpic---CAS TeX とその GUI フロントエンド

初めの 2 つ講演は、「TeX挿図用CASパッケージKeTpicの開発と今後」とCAS TeXGUI フロントエンドの「TeX描画のためのCASマクロパッケージKeTpic用GUIの開発」のお話でした。

実は、KeTpic のプロジェクトをとりまとめておられる郄遠さんとは、2008 年 10 月に開催された蒲田での OSS カンファレンス 2008 Tokyo/Fall で、TeX 関連の展示ブースということで訪ねたときにお会いしています。

そのときに「CAS TeX のマニュアル」の自費出版などを考えておられていまして、諸々の雑談をしておりました。

これは CAS を書籍や論文で使う場合なのですが、図はすべて eps にしてしまうことになるかと思います。それは、XyMTeX の藤田さんが論文投稿のところでご説明されていたのと同様です。

TeX ユーザの集いの講演後の懇親会でも、マルチプラットフォームGUI フロントエンドの件で、ずいぶんと長くお話を聞かせて頂きました。

「えっ、私が SciLab 版のマルチプラットフォームGUI フロントエンドを書くんですか?」とかとんでもない展開になりまして、ひとまずは Vine Linux に数式処理ソフトウェア関連のパッケージを使えるようにしてから、検討してみますということで落ち着いたと思っています。例えば、wxPython なんかでどうですかね?

でも郄遠さんの熱烈なお誘いには参りました(笑)

TeX の Web アプリケーション—日本語をタイプするのと同じ感覚で数式をタイプできる IM、オンライン上でみんなで作る教科書

次の 2 つの講演は、Web 上で TeX を使う、特に数式を扱うお話でした。

特に興味を持ったのが町野さんの JavaScript で作成されている数式入力システム Suimです。「日本語を打つような感覚で数式を打つ!」という当たり前にできてほしいことがそこには実現されていました。さらに辞書も充実することで、「tasu」、「waru」、「kakeru」なども適切な二項演算子に変換してくれるという親切設計だなーと感じました。

将来的には TeX を知らなくても、誰でも数式、グラフなどを Web 上で表現できるようになるんだと思います。

招待講演 TeX と DITA

あの中野さんの講演でした!

日本語 TeX の生みの親と言っても過言ではありません。pTeX の歴史を振り返りながら、ご苦労されたお話をお聞きすることができまして、こうして今我々が日本語 TeX を使えていることを、改めて確認してしまった講演でありました。

中野さんが pTeXUnicode 対応に携わる予定は今のところないそうです。pTeXTeX のメインストリームに取り込まれるのは、角藤さんや土村さん、upTeX を開発されている田中さんを初めとした、我々日本語 TeX ユーザの気持ち、活動次第という感じでしょうか。これからまた日本語 TeX の熱い夏がくる予感を期待せずにはおられません。

BibTeX スタイルのカスタマイズツールと最新の geometry パッケージ

geometry パッケージは非常にユーザ視点からみた版面のカスタマイズには優れていると思います。

しかしながら、論文執筆者がこのパッケージを、レイアウトが完全に決まっている学会誌に使うのだけはやめてもらいたいなーと、某学会誌の組版をしていて感じるときがしばしばあります。

韓国の TeX 事情 (in English)

それよりも、私にとっては Cho さんに dvipdfmx + fmex9.pfb の件でずいぶんと議論をさせていただきました。

懇親会では Cho さんと updmap や PostScript プリンタの件などの雑談を交えながら、そして dvipdfmx の検証をして下さっていました。私の broken English でもなんとか意図をくみ取っていただいて大変恐縮です。

dvipdfmx の検証は、現在進行中で Cho さんとやりとりをしていますので、結果が分かり次第、proceeding やこちらにも書き込みをする予定です。

XyMTeX, XyMML

XyMTeX で書かれた有機化合物の構造式が美しいのはもちろんなのですが、それよりも今回、MathML の化学式版ともいうべき XyMML を紹介されていました。

化学記号や有機化合物の構造式も数式と同様に、Web で簡単に表現できる日も近いかもしれません。

dvibrowser

Java で実装された DVI プレビューアで、単純にスゴイと思ったのは言うまでもないのですが、上記の Suim を持ったチャットアプリケーションなんかできたら、おもしろそうですね。

これ以降の講演は、…

自分の講演のシミュレーションをしていてあまり良く聞いていない(汗)。

Vine Linux 5.0 がやっとリリースされました!([id:munepi:20090826:1251244480]) にも書きましたが、ptexlive への移行、upTeX のパッケージ作成はやるつもりです!懇親会終了間際で、upTeX Project の田中さんから「Vine に upTeX を入れて下さいよ。」と言われまして、「入れる予定をしている」と即答!その後、田中さんと最寄り駅までご一緒にさせていただきました。

[追記 2009/10/08]Vine Linux 5.0(または現時点の VineSeed)において、tetex パッケージの延長上で upTeX を使えるようにしてみました:
tetex with e-pTeX and upTeX パッケージを作ってみた ([id:munepi:20091004:1254629603])

私の講演は、…

Vine 愛」を絶叫しました!それだけです(笑)

ちょっと聞かれたので、こちらに書いておきますが、予稿集のクラスファイルは、拙作の vlart というまだ非公開なクラスファイルで作成しています。以前のエントリー vlart クラスを作ってみた ([id:munepi:20090508:1241747254]) にサンプルを載せています。

発表後、Debian の武藤さんと初対面!かなり感激!Project Vine の松林さん (shaolin) からの応援メッセージも一緒に伝えて下さいました。あと、Debian のパッケージャーのお誘いを受けた(笑)でも、鍵署名の交換をするのを忘れていた。わざわざ fingerprint を持参していたのに… orz

心残りがいくつか…。

本田知亮さんにはお会いできたけれども、吉永徹美さんとお話したかった!おられたんだけれども、タイミングを逃した orz 次は本を持参してサインしてもらうぞ!

時間的制約のため、他にもたくさんの方とお話がしたかったけれどもできなかった。

次回の TeX ユーザの集い 2010 は、…

懇親会の最後では、次回もやるような話になっていましたので、たぶん開催されると思います。

懇親会の会場を去る直前に、dviout の開発をされている大島先生に「dviout で PSTricks が使えないのですが… 」とお聞きしますと、乙部さんが来られまして、「pstricks のマクロをちょこっとだけ書き換えるといける。」とおっしゃっていました。

face-to-face だから、こういう有益なお話が直接伺えて、一日中脳が肥大化していくような感覚で濃密なカンファレンスでした。

奥村先生、土村先生、大島先生を初め、実行委員の皆様、そして、カンファレンスに参加された皆様、本当にお疲れ様でした m(_ _)m

発表者への記念品

Meta the Lioness (TeX the lion) のピンにしました。かわゆす。


さぁ、それよりもですよ!dvipdfmx の検証

To be continued ...


*1:プレゼン資料は、pdf をどこかにうpするか、画像をここの載せるか検討中。